糖尿病における足の違和感の原因と対策:生活習慣病の予防と改善へ向けて

こんにちは。この記事を読んでくださってありがとうございます。産業保健師がいるオンライン保健室の北垣です。今回は、糖尿病でお悩みの方、特に足に違和感を感じている方々に向けたお話をいたします。
血糖値が高いのに放置している、または糖尿病の方で足に違和感を感じてはいませんか?
糖尿病は進行するとさまざまな合併症を引き起こしますが、その中でも足の違和感は非常に重要なサインです。今回は糖尿病の進行具合やリスクを理解し、生活習慣病の予防と改善に向けた具体的な対策を学んでいただければと思います。どうぞ最後までお読みいただき、健康管理にお役立てください。

足の違和感が糖尿病によるものかもしれません。現在の健康状態を正しく把握し、将来のリスクを予測し、より的確な健康管理をしていきましょう!
本記事で分かること
- 糖尿病の最大のリスク(3大合併症)
- 糖尿病における「足の違和感」の原因
- 足の違和感のセルフチェック方法
この記事の監修者


保有資格:保健師 / 看護師 / 養護教諭2種 / 介護初任者研修
京都大学医学部人間健康科学科看護学専攻を卒業後、株式会社メディカル・コンシェルジュに産業保健師として入社。特定保健指導に従事し、その後2013年に予防医療サロン「痩身庵」を設立。リバウンド率を5%に抑える独自のダイエットメソッド「チェンジ・ザ・セレクト」を開発し「最後のダイエット教室」を開催。2022年に日本循環器予防学会に入会し、さらにサービスを強化。2024年には「産業保健師がいるオンライン保健室」を設立し、働き盛りの健康を守るため、予防医療、ダイエットの分野など幅広く活動している。
糖尿病とはどんな病気か?
まず、糖尿病とはどのような病気なのでしょうか。多くの方が「尿から糖が出る病気」というイメージを持っているかもしれませんが、実際には糖尿病は膵臓と血管に関連する病気です。膵臓がインスリンを適切に分泌できなくなったり、体がインスリンに対して抵抗性を持つようになることで、血糖値が高くなります。血糖値が高くなり、血管の中で血管を傷つける活性酸素が増えることで、血管がボロボロになる。つまり血管ボロボロ病。これが糖尿病です。
糖尿病の主な症状には、頻尿、異常な喉の渇き、体重減少、疲れやすさなどがあります。これらの症状が現れるのは、血糖値が高くなりすぎて体の機能に影響を及ぼすためです。糖尿病の原因は、遺伝的要因と生活習慣によるものが大きく、特に不健康な食生活、運動不足、過剰なストレスなどが糖尿病を引き起こすリスクを高めます。
また、診断が遅れると、これらの症状がさらに悪化し、深刻な合併症を引き起こす可能性があります。そのため、糖尿病の早期診断は非常に重要です。定期的な健康チェックを怠らず、血糖値を管理することが予防の鍵となります。



早期診断、日々の健康チェックと血糖値管理が大切ですね。
健康診断については、以下で詳しく解説をしています。是非参考にしてください。
糖尿病の最大のリスクとは? ─ 3大合併症
糖尿病の最大のリスクに、以下の「3大合併症」が挙げられます。糖尿病を放置すると、これらの合併症が発症し、生活の質を大きく損なう可能性がありますので注意が必要です。
腎症
腎臓のフィルター機能が低下し、最終的には透析が必要になることがあります。腎臓は体内の老廃物を排出する重要な役割を果たしており、腎機能が低下すると体内に毒素が溜まりやすくなります。透析は週に数回行わなければならず、日常生活に大きな制約をもたらします。
2. 網膜症
目の血管にダメージを与え、視力低下や失明を引き起こすことがあります。網膜は視力に直接関与する部分であり、糖尿病性網膜症が進行すると、視界がぼやけたり、暗いところで見えにくくなるなどの症状が現れます。最悪の場合、完全に視力を失うリスクもあります。
3. 神経症
様々な神経に影響を与えますが、特に足の神経に障害をもたらすことが多いです。なぜ足に神経障害が出やすいかというと、たくさんの神経の中で足の神経が最も長く、その分高血糖の影響をもろに受けるからです。これは足の感覚異常や痛み、しびれとして現れます。糖尿病性神経障害は、初期には軽度の痛みやしびれとして感じられることが多いですが、進行すると感覚が鈍くなり、怪我をしても気づかないことが増えます。さらに悪化すると、足の血流が悪くなり、傷が治りにくくなって感染症を引き起こしやすくなります。最終的には、足の切断が必要になる場合もあります。
神経障害の怖いところは、神経という情報を知らせる機能が壊されるわけですから、自分のからだの本当の情報が、本人ですらつかめないことです。



よく自分の体は自分が一番よくわかると言いますが、その自己信頼感が崩れていくという怖さがあります。
このように、糖尿病を放置すると非常に深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。しかし、これらは血糖値を定期的にチェックすることで、糖尿病のリスクを早期に発見し、適切な治療を受けることができるため、合併症のリスクを大幅に減少させることができます。
特に、足の違和感は糖尿病性神経障害に関連しており、糖尿病発症後早期に見られることが多いため、糖尿病の早期発見に役立つ指標となります。
足の違和感の原因は「糖尿病性神経障害」によるもの。早期発見の指標になります。


他の足病変の違和感の違い
糖尿病が”足”に与える影響について詳しく見ていきましょう。
糖尿病が原因で足に感じる違和感には、足の裏が熱く感じたり、痛みを伴うことが多いのが最大の特徴です。これらの症状は糖尿病性神経障害によるもので、足の裏や先に「痛み」や「しびれ」、「むずむずする違和感」として現れます。



足の裏が熱い、痛みを伴う場合は、放置せず病院を受診し早期発見に繋げましょう。
水虫との関係性
その他にも、糖尿病の患者は感染症にかかりやすくなり、水虫が進行しやすいという特徴があります。糖尿病性神経障害が進行すると、「痛みを感じなくなる」ことがあります。これにより、足にケガをしても気づかず、その結果、感染症が進行しやすくなります。最悪の場合、糖尿病性足病変が進行し、足を切断しなければならない状況に陥ることもあります。
糖尿病による足の違和感の特徴と日頃のセルフチェック方法
糖尿病と足の違和感との関連性について説明してきました。ここからは糖尿病の「足の違和感」の特徴と、日頃のセルフチェック方法をご紹介します。
足の違和感の特徴
足のケアは、糖尿病管理において非常に重要となります。以下の違和感がないかチェックしてみましょう。
- 足の温度:特に夜の就寝時、足の裏が熱く感じるか確認しましょう。
- 痛みの有無:足の裏や先に痛みがあるかチェックしましょう。
- しびれやむずむず感:足の感覚に異常がないか確認しましょう。
- ケガや感染症:足にケガや感染症の兆候がないか、毎日チェックすることが重要です。
日頃のセルフチェック方法
糖尿病管理において、足のケアはとても大切です。以下のケアを日々続けることで、見逃しがちな異常を早期に発見することにも繋がります。是非、習慣化してみてください。
- 毎日の足のチェック:足に異常がないか、毎日確認します。特に傷や感染症の兆候を見逃さないようにします。入浴のタイミングで足の指の間をよく広げながら丁寧に洗うことを意識すると取り入れやすいです。
- 適切な靴を選ぶ:足に合った靴を選び、圧力や摩擦を避けるようにします。
- 足の保湿:足を乾燥から守るために、適切な保湿を行います。
- 医師の診察:定期的に医師の診察を受け、足の状態をチェックしてもらいます。
高血圧と糖尿病の関連性
糖尿病について説明してきましたが、糖尿病と深い関係しているのが「高血圧」です。
高血圧は血管に負担をかけ、糖尿病の進行を促進することがあります。一方で、糖尿病は血管がボロボロになることで動脈硬化を促進させ、高血圧を悪化させる可能性があるなど、高血圧と糖尿病は共通するリスク要因を持っており、それぞれに影響を及ぼしています。
血糖値よりも血圧の方が、便利な測定器が充実しており、日常の中で測定しやすい数値です。糖尿病が気になるかたは、腕時計タイプの血圧計を装備するなどモニタリングをすると管理しやすくなりますよ。
高血圧:血管に負担 → 糖尿病を促進
糖尿病:血管がボロボロで動脈硬化を促進 → 高血圧が悪化



高血圧については、以下で詳しく解説しているので、是非参考にしてください。
まとめ
この記事では、糖尿病と足の違和感について詳しく解説しました。
糖尿病による足の違和感は、糖尿病性神経障害によるものであり、早期発見と適切な対処が重要です。日々の足のチェックや定期的な医師の診察を怠らず、生活習慣の改善に努めることで、糖尿病の進行を防ぎ、将来の健康を守るための重要なステップになります。日常生活の中でできることから改善していきましょう。
日々の足のチェックなど、習慣化のコツは「よく知ること」です。将来的に予測される糖尿病に伴うリスクを認識し、生活習慣を改善することが重要です。
皆さんがこの記事を通じて、糖尿病に関する理解を深め、予防や改善に向けた具体的なアクションを起こしていただけることを願っています。



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