健康のための警告サイン:年代別平均血圧と、高血圧症の放置厳禁!危険な前兆

こんにちは、産業保健師がいるオンライン保健室の北垣です。

皆さんは自分の血圧についてどれくらい気にされていますか?特に30代から50代の男性の皆さんにとって、血圧の管理は非常に重要です。当サロンでも、「自分の血圧が平均値と比べてどうなのか?」、「そもそも平均値だと安心なのか?」「高血圧による脳卒中・心筋梗塞のリスクがあるのか?」といった質問を多くいただきます。

実は、高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれるほど、症状が現れにくい生活習慣病の一つです。症状がないまま進行し、気づいたときには重大な健康問題を引き起こしていることも少なくありません。血管には神経が通っていないので痛みを感じません。ですのでその他の前兆や数値から推測し、予防していかなくてはなりません。

この記事では、年代別の平均血圧と、高血圧症に潜む致命的な合併症とその初期症状について説明します。自分の血圧を平均値と比較して、将来の健康リスクを把握しましょう。血圧管理の重要性を再認識することで生活習慣の見直しや改善に向かうことができます。ぜひ最後まで読んで、参考にしてみてください。

ご自身の血圧を平均値と比較することで、現在の健康状態を正しく把握し、将来のリスクを予測することができます。日々の生活習慣を見直すことで、無駄な出費を省き、より的確な健康管理ができるようになりますよ。

それぞれの検査の重要性を理解し、適切な健康診断を受けることで、生活習慣病の予防と改善に努めましょう。

この記事の監修者

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保有資格:保健師 / 看護師 / 養護教諭2種 / 介護初任者研修


京都大学医学部人間健康科学科看護学専攻を卒業後、株式会社メディカル・コンシェルジュに産業保健師として入社。特定保健指導に従事し、その後2013年に予防医療サロン「痩身庵」を設立。リバウンド率を5%に抑える独自のダイエットメソッド「チェンジ・ザ・セレクト」を開発し「最後のダイエット教室」を開催。2022年に日本循環器予防学会に入会し、さらにサービスを強化。2024年には「産業保健師がいるオンライン保健室」を設立し、働き盛りの健康を守るため、予防医療、ダイエットの分野など幅広く活動している。

目次

高血圧とは何か

高血圧とは、血液が血管壁に対して過剰な圧力をかける状態を指します。正常な血圧の範囲は、最高血圧が120 mmHg未満、最低血圧が80 mmHg未満とされています。

高血圧の診断基準は、最高血圧が130 mmHg以上、または最低血圧が80 mmHg以上です。これらの数値は、血圧計で簡単に測定できるので定期的なチェックを心がけてください。

高血圧の分類

高血圧の分類は以下の表にまとめました。この分類は一般的な成人を対象としています。

分類最高血圧(mmHg)最低血圧(mmHg)説明
正常血圧120未満80未満健康な血圧値であり、特に問題はありません。
高値血圧120-12980未満境界線上の血圧であり、生活習慣の見直しが推奨されます。
高血圧第1期130-13980-89軽度の高血圧で、医師の指導のもとで生活習慣の改善が必要です。
高血圧第2期140以上90以上中等度から重度の高血圧で、医師による治療と生活習慣の大幅な改善が必要です。
高血圧の分類表

みなさんはどうでしたか?自分の血圧がどの分類に入るか確認してみましょう。もし高血圧の分類に該当する場合は、生活習慣の見直しや医師の診断を受けることをお勧めします。

当保健室のオンラインでも無料カウンセリングを実施しております。ぜひご利用ください。

年代別の血圧の平均値と考えられるリスク

年代別の血圧平均値を確認することで、自分の血圧が正常範囲内にあるかどうかを把握することができます。もし平均値から外れている場合、将来的な健康リスクが高まる可能性があるため、早めに対策を講じることが重要です。

血圧は年齢とともに上昇する傾向があります。その理由は、血管の弾力性が低下し、動脈硬化が進行するためです。また、生活習慣の変化やストレスの増加も血圧に影響を与える要因となります。したがって、年齢に応じた適切な血圧管理が必要です。

年代最高血圧(mmHg)最低血圧(mmHg)考えられるリスク
30代約125 mmHg約80 mmHg初期症状(頭痛、目眩、動悸)、肩こり、心疾患リスク、腎機能低下の兆候
40代約130 mmHg約85 mmHg頭痛、目眩、肩こり、冷え、しびれ、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中リスク、視力低下、耳鳴り
50代約135 mmHg約90 mmHg慢性的な頭痛、疲労感、動悸、息切れ、感情コントロールができない、出血傾向、心筋梗塞、心不全、脳卒中リスクの増加
血圧の平均値(年代別)

自分の血圧が平均値から外れていると感じた場合は、早めに対策を講じることが大切です。生活習慣の改善や医師の診断を受けることで、将来の健康リスクを減らすことができます。

高血圧の致命的な合併症と初期症状

高血圧を放置すると、様々な致命的な病気を発症するリスクがあります。これらのリスクがあると、日常生活に大きな影響を及ぼし、最悪の場合、生命を脅かす可能性があります。

例えば、心筋梗塞や脳卒中は突然発症し、命に関わる危険が非常に高いです。また、腎不全により透析治療が必要となると、生活の質が大きく低下します。動脈硬化が進行すると、全身の血流が悪くなり、様々な臓器に深刻な障害をもたらします。

高血圧が進行すると起こる危険な状態とその初期症状を確認していきましょう。

心疾患

高血圧は心疾患の主要な原因の一つです。心筋梗塞や心不全のリスクが高まります。心臓に過度な負担がかかり、血管が損傷しやすくなります。特に高血圧が長期間持続すると、心臓の筋肉が厚くなり、心臓の機能が低下する可能性があります。

【初期症状】

初期症状原因・発症リスクのある病気
階段での息切れ必要な酸素や栄養が足りなくなることで起こります。
夜の咳・息苦しさ体の中で血液が滞る「うっ血」が進むことで起こります。
むくみ肺と腎臓への血液がうっ滞することで足がむくみます。
首の血管の張り右心系への静脈還流が障害されることで起こります右頸部が怒張します。
食欲がない体の各部分での血流が悪くなり、腸管がむくんで腸の動きが悪くなることで食欲不振・吐き気・便秘が起こります
心疾患の初期症状

脳卒中

脳卒中は、高血圧によって引き起こされることが多い深刻な状態です。脳の血管が破裂する脳出血や、血栓が詰まる脳梗塞が含まれます。これにより、言語障害や半身不随などの後遺症が残ることがあります。脳卒中は迅速な対応が必要であり、発症後のリハビリテーションも重要です。

初期症状

初期症状原因・発症リスクのある病気
突然の頭痛脳出血の可能性があります。
最近発症した頭痛で痛みや症状が悪くなっていく脳出血の可能性があります。
片足の手足のしびれや弱さ脳梗塞の可能性があります。
言葉が不明瞭・理解が困難脳梗塞の可能性があります。
顔の片側が下がる脳梗塞の可能性があります。
最近発症した頭痛で痛みや症状が悪くなっていく脳出血の可能性があります。
頸部痛「椎骨動脈解離」といって、くも膜下出血の直前の状態の可能性があります。
耳鳴り立ちくらみや耳なりが発生し、一時的に意識障害が起こった場合は「脳梗塞」の発症が、耳鳴りの音が、脈拍にともなって「ザーザー」「ザクザク」といったものである場合は、脳出血のリスクがあります。
脳卒中の初期症状

腎臓病

腎臓は血圧調整に重要な役割を果たしますが、高血圧により腎機能が低下するリスクがあります。最悪の場合、腎不全に至ることもあります。腎臓病は初期症状が現れにくいため、定期的な検査が必要です。高血圧により腎臓の血管が損傷し、フィルター機能が低下します。

初期症状

初期症状原因・発症リスクのある病気
むくみ余分な水分と塩分を排泄できなくなります。
貧血の症状(動悸ふらつき)腎臓から赤血球をつくるホルモンが分泌されていますが、そのホルモン分泌が低下するため貧血になります。
尿の泡立ち尿から異常量のタンパクが漏れるため起こります。
全身の倦怠感尿から不要な毒素が排出されなくなり、体に毒素がたまることで起こります。
腎臓病の初期症状

下肢閉塞性動脈硬化症

高血圧は動」脈の壁を硬くし、血流を阻害する動脈硬化を引き起こします。その動脈硬化が足の血管に起こり、血管が狭くなったり、詰まったりする病気です。足に栄養や酸素を十分に送ることができなくなるため、様々な障害が現れます。

初期症状

初期症状原因・発症リスクのある病気
足の冷感・しびれ感指が青白くなることもあります。
間欠性跛行一定距離を歩くと、主にふくらはぎなどが締め付けられるように痛くなり、休まないといけなくなります。歩ける距離が短いほど重症となります。
安静時の足の痛みじっとしていても足が痛み、刺すような痛みが持続することもあります。
下肢閉塞性動脈硬化症の初期症状

これらの初期症状がみられた場合は、将来致命的な病気を発症するリスクがあります。医師に相談のうえ、早期発見と高血圧の改善を図りましょう。

高血圧は「タイプ」に合わせて対策を

高血圧にはいろいろな原因がありますが、大きく分けると、「循環血液量が増えるタイプ」と「抹消血管の抵抗が強くなるタイプ」の二つに分けることができます。高血圧の原因のタイプに合わせた対策を取ることが必要です。

高血圧のタイプは2つ

  1. 循環血液量が増えるタイプ
  2. 末梢血管の抵抗が強くなるタイプ

循環血液量が増えるタイプ

まず、循環血液量が増えるタイプでは、心臓から押し出す力が必要になって血圧があがります。これはメタボリックシンドロームの人によく見られるタイプです。内臓脂肪が増えると、大きくなった脂肪細胞からインスリンの効きを悪くする生理活性物質が出てきます。 すると、「うまく血糖をコントロールできないのはインスリンが足りないせいだ!」 と体は判断し、 インスリンが追加で分泌されるようになります。

この状態は 「高インスリン血症」と呼ばれ、この状態は、腎臓の尿細管でのナトリウムの再吸収 を促進します。
一度捨てるはずだったナトリウムをまた引き戻すんですね。 すると結果的に血液中のナトリウム濃度が上昇し、それを薄めるために血液中に水分が引き込まれてくる。 その結果、 血液量が増えるのです。

このようにメタボの人は血中のナトリウム濃度が高くなりがちなので、 減塩することで血中のナトリウム濃度をコントロールでき、 降圧効果が高いのです。 メタボで高血圧の場合は、 内臓脂肪を減らすことに併せて、 減塩も降圧効果が出やすいことを覚えておきましょう。

糖尿病・糖尿病予備軍・eGFRが下がっている人

また、肥満気味の糖尿病の予備群の人、つまり耐糖能障害がある人も、 インスリンがたくさん出るので高インスリン血症になって循環血液量が多くなっていきます。 従って、糖尿病や糖尿病予備群の人、 そして、腎機能が低下してeGFR(腎臓が老廃物を排泄する能力を示す数値)が下がってきている人も、ナトリウムをうまく出せなくなっているので減塩が効きます。

もう1つ、 人には食塩摂取により血圧が上がる食塩感受性がある人と、食塩を摂取しても血圧が上がりにくい食塩非感受性の人 (食塩感受性がない人) がいます。 そして、 食塩感受性がある人も、ナトリウムの排泄が非感受性の人と比べると遅れるので、血液中のナトリウム濃度が上がって血圧が上がりやすくなります。

日本人の約4割は食塩感受性が高いタイプ、 つまり、 少し塩分をとっただけで血圧が上がりやすいと言われています。 特に高齢者は、 腎臓におけるナトリウムの排泄力が落ちるので食塩感受性が高くなりがちです。 年を重ねてくると血圧が上がる理由の1つはこれです。

つまり肥満、中でもメタボリックシンドロームの人や、 肥満気味な糖尿病の人 (高インスリン血症の人) 腎機能が下がっている人、そして高齢者は、減塩で降圧が期待できます。

循環血液量が増えるタイプは 「減塩」 の効果が出やすい

こんな人に多い

  • メタボリックシンドロームの人
  • 肥満気味の人
  • 腎機能が下がっている人
  • 食塩感受性がある人 (高齢者など)

末梢血管の抵抗が強くなるタイプ

一方、「末梢血管の抵抗が強くなるタイプ」とは、 「血管リモデリング」 という現象が起きている場合を指し高血圧の期間が長い人に多くみられます。血管リモデリングとは、血圧が高い状態が長く続くことで血管壁が傷つき、 様々な要因から血管を構成する細胞が増殖して分厚くなってしまい、血管の内腔が狭くなる状態、つまり動硬化の一種です。 

やせていて血圧が高い人の場合は、 生まれつき血圧が上がりやすい遺伝的素因があることが多く、若い頃から血圧が高い状態が長く続くことで、血管が傷つきやすくなります。そうしたことを繰り返すうちに、血管細胞が増殖することもあるでしょう。血管細胞が増殖すると血管の内腔が狭くなるだけでなく、血管壁も分厚く、硬くなります。 そこに、寒冷刺激や精神的ストレスが加わるなど、 何らかの要因で血管が収縮すると、もともと狭い血管がさらに狭くなって血圧がより上昇してしまいます。 このタイプは血管壁の変化が高血圧を引き起こしているので、減塩しても直接的な効果は得られにくいという特徴があります。

特に遺伝的素因がない人でも、血圧が高い状態が長期間続くと血管リモデリングが起こってくるため、 高血圧のまま放置した高齢者にも多いと考えられます。 いったん血管リモデリングが起こると、生活習慣を変えても元に戻りません。

こうした血管リモデリングが起こっている可能性のある人は、もちろん減塩も大切ですが、 減塩だけではなかなか降圧効果が表れません。 それよりも、受診して血管を緩めるタイプの降圧薬を処方してもらい血圧管理を行うのが近道でしょう。

そして、このタイプの人にお勧めしたい生活習慣が、ウォーキングなどの有酸素運動です。 若い頃から高血圧だったという高齢者の方は、ぜひ有酸素運動を生活に取り入れていただきたいと思います。また、やせていて高血圧の人は、ドキッとしたり、 イラッとしたりと、生活上の何らかの外的刺激で交感神経が興奮し、血圧が上昇しやすい人が多い傾向があります。 つまり、すぐ戦闘モードのスイッチが入りやすい素因があると考えられるので、ぜひリラックスを意識してください。

末梢血管の抵抗が強くなるタイプは「減塩」が効きにくい。

「減塩」だけでなく、薬・運動・リラックスが大事です。

こんな人に多い

  • 若い頃から血圧が高い人
  • イライラしやすい人

年齢や体型から見たタイプ別高血圧対策

高齢者の高血圧はまず、それに併せた生活習慣改善は、減塩だけでなく、有酸素運動などを併せて行うのが効果的といえます。 

また、 30代、40代、50代といった 若い世代のやや肥満気味の人メタボで高血圧がある人には、 とにかく減量と減塩、改善しなければ です。 さらに やせている人はリラックスと薬 を心がけることが大切ということになります。

もちろん、若くてやせている人は減塩や運動の必要はないということではありません。 それらの対策の中でも特にリラックスを重視すべきだということです。 ずっと減塩を心がけているのに効果が出ない人は運動やリラックスも取り入れてほしいし、 メタボの人も減量だけでなく、 減塩も意識してほしいと思います。

年齢・体型・体質有効な高血圧対策
メタボ、肥満気味の糖尿病の人減量(食事制限と有酸素運動)、減塩、だめなら降圧薬
高齢者降圧薬、有酸素運動、減塩、リラックス
若くて痩せている人リラックス、有酸素運動、降圧薬
腎機能が低い人減塩、降圧薬
年齢・体型・体質からみた、有効な高血圧対策

まとめ

本記事では、高血圧の基本知識から年代別の平均血圧、そして高血圧による致命的な症状について詳しく解説しました。高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれるように、自覚症状が少ないまま進行し、放置すると命に関わる重大な病気を引き起こすリスクがあります。しかし、早期に発見し、タイプ別に適切な対策を講じることで、そのリスクを大幅に低減することが可能です。

まずは自分の血圧を定期的に測定し、年代別の平均値と比較してみてください。

習慣化にするには、まず理解することが非常に大切です。高血圧のリスクを理解し、生活習慣の改善に取り組むきっかけとなれば幸いです。食事の見直し、適度な運動、ストレス管理、禁煙・節酒といった基本的な対策は、日常生活の中で実践できることばかりです。

また、定期的に健康診断を受け、医師のアドバイスを受けながら血圧管理を行うことも重要です。特に、40代から50代にかけては、心疾患や脳卒中といったリスクが高まるため、より一層の注意が必要です。

最後に、この記事が皆さんの健康維持と生活習慣病の予防に役立ててもらえれば嬉しいです。自分の健康を守るために、日々の生活習慣を見直し改善してきましょう!

当保健室では、どうすれば習慣化できるのか?習慣化のサポート」もしております。まずは、ぜひ当保健室の無料カウンセリングをご利用ください!

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